春風のブログ

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適当に書きます

ちょっとしたこと

自分が混乱していたり、はじめ見落としたりしていた点などのメモ。質問、コメント等ありましたらお願いします。

 

・指数定理関連:

空間を張り合わせてトーラス!というのはまあ良いのだけれど、ディラック作用素を考えるときは計量つきなわけで、そこは区別しないといけない。単に端に境界条件を入れただけだとそれは平坦トーラス(なので、R^3には埋め込めない)。トーラスの絵を書いたとき、(その絵から読み取れる自然な計量を選ぶならば)計量は自明でないので、指数定理ではAハットgenusの影響が出る可能性はある。もっとも2次元だとこれは関係なく、高次元でもかなり広いクラスで消えるのではあるが。

※4次元とかで簡単に計算できる非自明な例があれば教えて下さい。

 

・3d Chern Simons 項について:

整数量子系の effective action が U(1) CS で書ける、そしてZ-valuedのレベルkがホール伝導度の量子化の整数と一致する、というのは有名な話。これ自体は良いのだが、kが整数に値をとるというわけについての説明が(自分が出会ったものの多くは)いろいろと不親切なので、まとめる。まず、底空間Mを境界に持つ4次元空間Nが持ってこれるかだが、これは3次元のスピンボルディズムが自明であることからいつも保証される。次に non trivial な U(1) bundle があるのかであるが、これはある。実際、主U(1)束の分類が1 st Chern Class で決まることを思い出せば、与えられた空間Mに対して非自明なU(1)束があるかどうかはチャーン類(in H^2(X,Z))を計算すれば良いが、これが非自明な例はある。それで、M上のU(1)束をNに拡張したいわけであるが、こういうことが必ず出来るかは非自明で、実際その障害はH_3(BG,Z)で計れるという事実がある。これが消えてない場合は厄介なわけであるが、G=U(1)の場合はH_3(BU(1),Z)=H_3(CP^infty,Z)=0なので、拡張ができる。

(追記:いろいろ書いたが、Omega_3^Spin(BU(1))=0という事実を使えば一発で終わる。)

あとの話はいろいろなところで解説がある。具体的には、この拡張に寄らないことは4d の閉じた空間N'上でCS項の拡張(Fwedge Fのような項)がどうなるかを見ればよく、これはN'にスピン構造が定まっているとき2π*整数値を取る。したがってkが整数値であれば effective action はmod 2piZで well-defined であり、Z=exp(iS_eff)は問題なく定まる。

※ここに書いている事実についての詳細や、一般のゲージ群の場合は [Dijkgraaf, Witten 90]を見てください。