電磁気学と微分形式(概要)
先日のセミナー(#なんでもセミナー)で話した「電磁気学と微分形式」について,概要だけ書いておく.
[第一部]
1.真空中の電磁気学
1.1 Maxwell方程式
真空中のMaxwell方程式,簡単なベクトル解析,電磁ポテンシャル,軸性ベクトルなどを主に扱った.
2.微分形式
R^n上の微分形式を簡単に説明した.導入としては,接空間を経由せず,直接余接空間を定義した.
扱った内容:余接空間,外積代数,微分k形式,外微分,接空間,計量,Hodge Star作用素,余微分,ベクトル解析との対応,Laplace Beltrami作用素.
(Hodge Star以降は標準内積の入ったR^3に限定した.)
以上を踏まえ,真空中の方程式を微分形式を用いて書き直した.
[第二部]
3.特殊相対性理論
物理的な話はあまりせず,主にMinkowski空間について話した.標準内積の入ったR^nでの等長変換に対応するものとして(3+1)Minkowski空間のLorentz変換を説明した.ただし,その後の話はSO(3,1)に限定した.
4.Minkowski空間での微分形式
Minkowski計量が入ることで変わる点を,具体的に示して説明した.時間の都合上,計算はあまり追えなかったので結果だけ示した.
5.Maxwell方程式
4元量を導入し,Maxwell方程式を書き直した.特に,真空中においては4元電磁ポテンシャルを用いるとMaxwell方程式が一本にまとまることを確認した.
[セミナーのポイント]
微分形式を用いたMaxwell方程式を書いている文献はいくつかあるが,(数学的な)扱いがいい加減なものが多く,また詳しい計算を確認しているものは見たことがなかったので良い整理になったと思う.(特に,Minkowski空間での計算は符号のチェックが結構大変である.)
[その他]
当初計画していた,Maxwell理論がU(1)Gauge理論であるということの解説はできなかった.(時間と,発表者の都合です.)