春風のブログ

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適当に書きます

電磁気学と微分形式

 #なんでもセミナーで話した内容に近いものを公開します.(近いというか発表原稿を元にしているので扱っている内容は同じです.)

大まかな内容については,

harukazesky.hatenadiary.jp

を見てください.また,未完成な部分が多いため随時更新すると思います.

誤植があれば連絡ください.

 

電磁気学と微分形式(概要)

先日のセミナー(#なんでもセミナー)で話した「電磁気学微分形式」について,概要だけ書いておく.

 

[第一部]

1.真空中の電磁気学

1.1 Maxwell方程式

真空中のMaxwell方程式,簡単なベクトル解析,電磁ポテンシャル,軸性ベクトルなどを主に扱った.

2.微分形式

R^n上の微分形式を簡単に説明した.導入としては,接空間を経由せず,直接余接空間を定義した.

扱った内容:余接空間,外積代数,微分k形式,外微分,接空間,計量,Hodge Star作用素,余微分,ベクトル解析との対応,Laplace Beltrami作用素

(Hodge Star以降は標準内積の入ったR^3に限定した.)

以上を踏まえ,真空中の方程式を微分形式を用いて書き直した.

 

[第二部]

3.特殊相対性理論

物理的な話はあまりせず,主にMinkowski空間について話した.標準内積の入ったR^nでの等長変換に対応するものとして(3+1)Minkowski空間のLorentz変換を説明した.ただし,その後の話はSO(3,1)に限定した.

4.Minkowski空間での微分形式

Minkowski計量が入ることで変わる点を,具体的に示して説明した.時間の都合上,計算はあまり追えなかったので結果だけ示した.

5.Maxwell方程式

4元量を導入し,Maxwell方程式を書き直した.特に,真空中においては4元電磁ポテンシャルを用いるとMaxwell方程式が一本にまとまることを確認した.

 

[セミナーのポイント]

微分形式を用いたMaxwell方程式を書いている文献はいくつかあるが,(数学的な)扱いがいい加減なものが多く,また詳しい計算を確認しているものは見たことがなかったので良い整理になったと思う.(特に,Minkowski空間での計算は符号のチェックが結構大変である.)

 

[その他]

当初計画していた,Maxwell理論がU(1)Gauge理論であるということの解説はできなかった.(時間と,発表者の都合です.)

参考書(熱力学)

力学に引き続き,熱力学の教科書を紹介します.

 

力学のところでも言っていますが,誰にでも相性の良し悪しが少なからずあると思うので,一度手に取って眺めてみるべきだと思います.以下で紹介する本で,読んだことがないと書いているもの以外は私自身大体読んではいるのですが,随分前に読んだものもありますし,半分くらいしか読んでないものもあります.あと当然ですが,私はただの学生なので,的外れなことを書いている可能性も十分にあります.

 

熱力学が一年の必修として開講されている学校は少ないようです.個人的には熱力学を学ぶことは非常に重要なことだと思います.なぜ重要かというのは教員に聞いてください.以下で紹介する本にもそういうことが書いてあるものもあります.

 

また,熱力学は掴みづらい分野だと思います.東大の一年前期の必修科目の中では最も取っつきにくいもののように思います.(わけ分からないままで良いのであれば単位を取るのは簡単かもしれませんが)実際,よくできている(と言われている)教科書は少ないようで,授業も教官によって質がバラバラなようです.力学より自学が大切になる可能性が高いと思います.

とはいえ,良い教科書も多く存在します.それぞれ構成が異なっているので何冊か読むのが好ましいように思いますが,各自で判断すればよいでしょう.

 

リンクはAmazonです.

 

 

熱力学  三宅哲

いわゆる一般的な熱力学の教科書です.説明が丁寧で分かりやすいですし,扱っている内容も十分なように思います.

 

熱・統計力学の考え方  砂川重信

砂川先生の物理の考え方シリーズの一つです.

このシリーズは基本的にどれも分かりやすくて,必要な数学も高度ではないので高校生でも読めると思います。

これだけだと内容が少し物足りないかもしれませんが,掴みには十分だと思います.

 

フェルミ熱力学

読んだことはないですが有名なので紹介しました.

軽く眺めた感じは分かりやすそうでしたが,何とも言えません.

 

熱力学入門 佐々真一

有名な本ですが,読んだことはないです.

比較的新しい本ですが,よく書けているという話を聞くので買って損することはないように思います.軽く眺めたところ,ボリュームは少ないですが,エッセンスを上手く伝えてくれる本のような感じではありました.

 

熱力学―現代的な視点から  田崎晴明

有名です.

序盤でヘルムホルツの自由エネルギーが出てきたりとかなり独特な構成になっています.

一般的な熱力学の論理の流れを掴んでから読むと面白いと思います.

 

熱力学の基礎  清水明

熱力学の数学的な構造がよく分かるのでオススメです.

かなり丁寧な分,分かっている人には少しくどいかもしれませんが,高い視点から熱力学の世界を眺めることができる一冊です。

最初からエントロピーを与えており,公理的に熱力学の話題を扱っています.そのため,講義のサポートとしては不向きかもしれません.

 

熱の理論 太田浩一

最初の方しか読んでいませんが,とても良い本だと思います.(個人的にとても好み)

数学をよく勉強している人や,一度熱力学を学んだ人が読むのに向いていると思います.

後半は統計力学に触れており,そのほかブラックホールの熱力学など,とても面白そうな話題についても書いてあります.(読んだらまた付け足します.)

(なんでAmazonであんなに評価低いんだよ...)

 

駒場書籍部にある力学の本

タイトルの通り,駒場の書籍部に置いてある力学の本を並べて置きます.

解析力学がメインのものは除いてあります.

 

参考書(力学) で,教科書の選ぶ方やいくつかの本についてコメントをしているので参考にどうぞ.

新入生に向けた教科書の紹介という意図ではありません.(中身もあまりチェックしていませんし)

また,ここで挙げていない本もあると思います.書籍部の店頭になくても注文すれば取り寄せてくれるので,正協会員であれば取り寄せることをお勧めします.

 

リンクは基本的にAmazonにつけています.

 

ゼロからの力学I II

グラフィック演習力学の基礎

基幹講座物理学 力学

力学I (原島鮮)

詳解演習力学

力学演習

よくわかる 初等力学

裳華房フィジックスライブラリー 力学(I) (II)

物理入門コース 力学

大学生のための力学入門

裳華房テキストシリーズ 力学

単位が取れる力学ノート

例題から展開する力学

グラフィック講義 力学の基礎

新物理学ライブラリ 力学

初歩の量子力学を取り入れた力学

朝倉物理学選書 力学

大学演習力学

一般力学30講

スタンフォード物理学再入門力学

物理学序論としての力学

バークレー物理学コース力学

一般力学

物理の考え方 力学

力学 (原島鮮)

 

物理学書の羅列

物理の本の比較的有名なものの列挙

 

個人的なメモなので、適当です。お気に入りだけど挙げていないものもあるし、よく知らないものや評判が微妙なものも載せてあります。

随時更新する予定(予定)です。

訳書がないものはローマ字表記

 

<シリーズもの>

講談社基礎物理学シリーズ

理論物理学教程(ランダウ

ファインマン物理学

バークレー物理学コース

 

古典力学

原島

ランダウ

ゴールドスタイン

山本解析力学

解析力学

解析力学微分形式

アーノルド

 

<熱力学>

田崎

清水

佐々

フェルミ

Lieb,Yngvason

久保演習

 

電磁気学

砂川理論電磁気

太田電磁気

ジャクソン電磁気

ランダウ

 

<相対論>

内山テキストシリーズ

風間

シュッツ

内山一般相対論

場古典

佐藤小玉

Wald

Hawking,Ellis

電話帳(重力理論)

 

量子論

朝永(合計4冊)

小出

砂川

清水

猪木川合

ディラック

ランダウ

サクライ

シッフ

ファインマン経路積分

ノイマン

 

統計力学

田崎

久保

久保演習

ランダウ

ファインマン

 

<流体>

今井

ランダウ

 

場の理論

坂本

坂井

九後

Peskin

Srednicki

Weinberg

 

 

とりあえずこの辺

 

 

JPhO2017大問1Aについて

 ええと、需要あるか分かりませんがJPhO2017の大問1Aについて少しまとめようと思います。

 

(問題はこちらから)

物理チャレンジ!:過去問題集

 

解説では上手いこと慣性系を選べば最後の問題が簡単に解けると言っています。

(ちなみに僕は理論試験直後に某OPに「あれは5秒だね」みたいな煽りを受けた)

 

ところが実際には初めから質量中心系を考えればその前の計算も不要です。

 

<よく分かる解説>

 

水平方向の運動量は保存されることに注意して、重心系で衝突を考えることにします。

 

今の場合重心速度\displaystyle V_G=\frac{m_1}{m_1+m_2}v_0です。

 

衝突後、小球と台が1回目と同じ位置で衝突したという問題文から、重心系で見ると小球は台の真上に上がったことが分かります。

 

相対運動のエネルギーが\displaystyle K_{rel} =\frac{m_1m_2}{2(m_1+m_2)}v_0^2

であることに注意すれば、重心系で見た小球の衝突後の速さは

\displaystyle u=v_0\sqrt{\frac{m_2}{m_1+m_2}}であることが分かります。

 

 さて、この衝突では問題文にあるとおり、台が小球に与える力積は斜面に垂直であり、これは観測する慣性系によりません。

 

ですから、衝突前の小球の速さ\displaystyle v=\frac{m_2}{m_1+m_2}v_0

と衝突後の小球の速さとの比が

 

 \displaystyle \frac{u}{v} = \sqrt{3}

 

であると分かり、整理すれば

 

\displaystyle r=\frac{m_1}{m_2}=2

 

であることが分かりました。(終)

 

 

 

 式だけだと分かりにくいと思うのでまた時間がある時に図でも載せようと思います。

参考書(力学)

 

こんにちは

 

力学の教科書の紹介をしたいと思います。

 

大学生の人で講義があるのであれば、まずはそれを真面目に受けてみることをオススメします。当然ですが講義で多くの話題を扱うのは不可能なので、ちゃんと理解しようと思うのであれば自分で勉強する必要があると思います。その際、先生に教科書を聞いてみるのもいいでしょう。

 

ここでは対象者などは深く考えずに、それなりに有名な力学の教科書を列挙していきます。

 

物理の本はセルフコンテインド(自己完結的)でないものばかりなので、何か一冊を読めば理解できる訳ではないですし、他人の書評を安易に受け入れるのもどうかと思いますが、よかったら参考にしてください。

 

とりあえずは読んだことがある(全部とは言ってない)教科書を中心に並べておきます。

 

 

 力学 原島鮮

 

原島先生の標準的な力学の教科書です。基本的な内容は大体抑えてあり、式変形も丁寧です。少々まわりくどい説明が多い気もする。

 

後半は解析力学を扱っていますが、おまけ程度の認識で良いと思います。

 

 

力学(講談社基礎物理学シリーズ)

 

このシリーズは高校生でも読めるように書かれているため、数学の知識はその都度説明してくれるなどとても親切です。

 

演習問題の解答がしっかりしているのがgood point。

 

 

基幹講座物理学 力学

 

読んだことはありませんが、このシリーズの解析力学が良かったので挙げておきました。

 

構成がスッキリとしていて知識を整理するのに丁度良いと思われます。

 

 

ファインマン物理学  力学

 

 有名なファイマンの講義を元にした本です。

 

教科書というよりは読み物という感じ。

 

相対論や解析力学にも触れているので、全部理解しようと思ったらかなり大変だと思います。(全部読んでないのでいい加減なこと言っているかもしれない)

 

あと、訳がクソだというのを聞いたことがあります。

 

英語版なら無料公開されているので、読めそうならそちらを読めば良いと思います。

 

 

原書(英語)はこちら

 

http://www.feynmanlectures.caltech.edu/

 

バークレー物理学コース  力学

 

 高校の図書館にあったので一部読みました。

 

ファインマン物理学もそうですが、欧米の人の本は「物理」って感じがします。(どういう感じだよ)

 

演習問題がとても面白そうですが、解いたことはないのでよく分かりません。

 

 

理論物理学教程  力学

 

 解析力学の本ではありますが、力学の名著として有名です。

 

行間が広いと言われいますが、論理の飛躍はそこまでではないと思います。

 

計算の省略は多いので普通にしんどい…

 

私自身読んでない部分が結構あるので、そのうちちゃんと読もうかなと思っています。

 

この本も英語版が無料公開されていますが、読みにくいのであまりオススメしません。

 

 

古典力学 ゴースドスタイン 上

古典力学 ゴールドスタイン 下

読んだことありません。これも古典力学の本で有名です。

 

難易度は高い(らしい)

 

他の分野も書けたら書きます